目次

Xin Chao!テト休み(旧正月)前の慌ただしいホーチミン市からお話させて頂きます。

 まず現地の新型コロナ感染状況ですが、依然としてデルタ株が猛威をふるっており、1日あたりの感染者数は約1万6,000人、そして死亡者数が200名前後(2022年1月19日時点)と深刻な状況です。オミクロン株の本格上陸前であることを考えると心配は募りますが、ベトナム当局としては、経済の多大な犠牲を払ってきた隔離政策をこれ以上継続できないと、2022年は1月より入国規制の緩和を皮切りに、規制緩和の方向に舵を切っております。旧正月明け(2月上旬)より、ようやく私の長男は小学校に半年ぶりに通学できることなりそうな状況です。
※本ブログにおける新型コロナウィルスのベトナムでの状況は2022年1月時点での状況です。各国の新型コロナウィルス感染症についての最新情報は、「外務省 海外安全ホームページ」等をご確認ください

比較的に小粒である、ベトナムM&A案件

 前回のベトナムブログではベトナムの国自体、その成長市場の魅力に関してお話しましたが、今回は少し掘り下げて、ベトナムM&A特有の特徴をお話します。ベトナムのM&A市場は、ここ数年は年間平均300件程度で推移、Out-Inが全体投資額の約6~7割を占め、その中で日本からの投資件数は首位です(2018年:22件、2019年:33件、2020年:23件)。興味深いことに、日本企業からの1件当たりの平均投資金額を見てみると2019年では約12百万米ドルとなっており、他のASEAN諸国と比較しても小さいことが分かります。3桁億の投資金額が当たり前である欧米企業の買収案件と比較すると、大企業でなくても手が届く範囲かと思われます。

平均買収金額/件(百万USドル)
2017 2018 2019 2020 2021
シンガポール 266 28 31 77 71
ベトナム 6 12 12 18 67
タイ 16 41 3 10 1
インドネシア 55 62 21 39 114
フィリピン 269 2 31 16 22
マレーシア 12 140 8 8 11

出典:レコフ「クロスボーダーM&Aマーケット情報」より日本M&Aセンターが算出・作成

ベトナムM&Aは10年後の業界トップ企業へのチケット

ビジネスにおけるベトナムの歴史

 ベトナム現地企業が比較的に小粒であるのは何故かというと、1975年ベトナム戦争終戦、1986年のドイモイ政策(市場経済導入)を経て、2000年に初めて証券市場が誕生し、ようやく資本主義が芽吹いた歴史的な背景を無視できません。民営企業の歴史が短い分、第二次世界大戦後に生まれた財閥が巨大に成長して全て独占してしまう東南アジア特有の弊害がなく(集約化も進まない弊害もありますが…)、各業界トップ企業の規模は比較的に小さく、その分成長性があるのが特徴です。

ベトナム企業は「勝ち馬」

 言い換えると「日本の中堅クラスの企業でも、現地市場のリーディングカンパニーに投資する機会がある」というのがベトナム市場です。若い経営陣に率いられた伸び盛りの有力企業に、日本から資本・ノウハウ・ブランドを補完し、その成長を加速させるM&Aは、異国の地でローカル市場を一気に取りに行くという有効な手法だと思います。海外M&Aを成功させるためには「勝ち馬に乗る」のがポイントです。日本M&Aセンターが過去にご支援したM&A案件は、業界10番手未満の勝ち組企業に出資するケースが目立ちます。実際に早くも出資後2年間で、出資先が売上80億円から150億円に拡大して、業界No.1になったという大変うれしい声も届いております。

 経済成長の著しいベトナムでは、年率10~15%の成長するのが当たり前です。良い投資先を見極めることができれば、現地でNo.1を狙うことも夢物語ではありません。ポストコロナの経済再開を見据えて、ベトナムM&Aは、これから一番面白いタイミングを迎えることを確信しています。

ベトナム三大M&A難易度

決算書の透明性とコンプライアンス問題

 ベトナムM&Aの魅力についてお話してきましたが、特有の難易度があります。最初に気を付けるべきリスクポイントは2点。それは決算書の透明性(税務リスク)、そしてコンプライアンス問題です。

 決算書問題ですが、上場企業でない限り、二重帳簿(管理用と税務用)どころか、三重帳簿(前述の二帳簿に加えて銀行提出用の帳簿)が一般的です。買収監査の実施、また事業評価をするにあたり、そもそもどの決算書を正として行うのかということのスタートから論点となります。一方コンプライス面でも、日本と大きく異なる法制度(そしてそのあいまいな運用)、および現地特有の商習慣も相まって問題は山積みです。こちらも現地事情に詳しい専門家との助言を受け、入念な対応が必要となります。

競争環境

 また3番目の論点としてリスクの観点からは異なりますが、ベトナムM&Aの競争環境が激しいことが挙げられます。ベトナム市場自体の注目度の高さとあいまって、具体的に譲渡対象会社との交渉を始める前に、オファーの金額条件面だけで足切りされてしまうことが多々あります。日系企業はもちろん、海外企業も非常に積極的ですので、優秀なアドバイザーと入念に打合せを行い、金額提示方法はもちろん買収当事者自体の魅力を伝えるプレゼンを準備して、まず国内予選(日本企業同士の競争を)通過することが交渉のスタートなります。
 今回は字数の関係もあり難易度については急ぎ足で駆け抜けました。改めて次回以降に各論点を詳しくお話ししたいと思います。
ではまたお会いしましょう!
渡邊のその他の投稿はこちらから
ベトナムM&Aのポイント

日本M&Aセンターの海外M&A支援

 日本M&Aセンターでは、中立な立場で、譲渡企業と譲受企業双方のメリットを考慮にいれたM&Aの仲介を行っております。また、日本企業による海外企業の買収(In-Out)、海外企業による日本企業の買収(Out-In)、海外企業同士の買収(Out-Out)も数多く手掛けてまいりました。
海外進出や事業継承に関するお悩みはいつでもお問い合わせください。
日本M&Aセンターの海外M&A支援サービス
その他の「日本M&Aセンター海外M&A支援サイト ブログ&コラム」を読む

新着ブログ記事

その他の記事を見る