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まず、2022年2月初旬時点でのタイにおける新型コロナウイルス感染症の感染状況は、感染者数は増加傾向にありますが、タイ政府はこの感染症との共存へ舵を切り始めました。そんなタイから、今回はこれからのタイでのM&Aについての展望を述べたいと思います。

中所得国の罠とは

タイは、過去30年で右肩上がりの発展をとげ中所得国となりましたが、「中所得国の罠」に直面しているとも言われています。
もともと「中所得国の罠(Middle-Income Trap)」という言葉は、2007年に公開された世界銀行のレポートである「東アジアのルネッサンス」(An East Asian Renaissance-Ideas for Economic Growth)で生まれた言葉です。
なお、中間所得国とは、1人あたりのGNI(国民総所得)が約1,000~約12,500ドル(米ドル)の国を指します。1人あたりのGNIが、約12,500ドル以上の国は高所得国と分類されます。ちなみに、日本は、2012年に50,060ドルを記録し、2021年は42,650ドルでした。
さて、外国からの投資や人件費の安さを生かし急速に成長した多くの中所得国が、そのレンジを抜けだせず高所得国に成り上がれず手をこまねいている状況にあります。このような状況が「中所得国の罠」と呼ばれています。
タイのGNIは、1988年に1,000ドルを越え、2021年には7,090ドルに達しました。ほぼ右肩上がりで成長を続けています。

タイのGNI推移(1962年~2021年)単位:USドル

出典:THE WORLD BANK (GNI per capita, Atlas method (current US$))より日本M&Aセンター作成
https://www.worldbank.org/en/home

成長に黄色信号

上記の通り、タイは上下が有りながらも成長を続けてきています。しかし「中所得国の罠」とある通り、私はこのまま成長が継続するとは考えていません。低所得国から中所得国に成るためには外国からの投資や人口の増加が必要になります。タイは外国からの投資に対して多くの恩典を与えて誘致してきました。人口も順調に増え約7,000万人まで増加しています。一方、合計特殊出生率は年々低下しています。
ASEAN諸国の合計特殊出生率では、シンガポールの1.1(2020年)に次いで2番目に低い水準の1.341(2020年)になっています。2020年の日本の合計特殊出生率もタイに近しい1.34となっていますので、タイで急速な少子化が進んでいく様子は、我々日本人の実感としても感じられるのはないでしょうか。
人口でいけば医療水準の向上等により寿命の高齢化が進んでいるため、引き延ばしはできているものの、まもなく人口減少期にはいるでしょう。

ASEAN諸国の合計特殊出生率(1960年~2020年)

出典:THE WORLD BANK (Fertility rate, total (births per woman))より日本M&Aセンター作成
https://www.worldbank.org/en/home

悲観的であるべきか?

人口は経済成長に必要不可欠な要素であると考えます。そういった観点から日本とタイは似た状況にあるとも言えます。しかしながら、その過渡期には多くの産業が集約され、また新たなビジネスが生まれるという側面もあります。
関連して、日本国内のM&Aによる業界再編について、日本M&Aセンターの渡部恒郎による「業界メガ再編で変わる10年後の日本とは?」をぜひお読みください。
タイ政府では国際競争力のある付加価値の高い産業を生むために「Thailand4.0政策」も大々的に打ち出しています。これは、デジタル化を促進させてタイを付加価値創造社会へ導こうという政策です。つまりタイ政府も自国の立ち位置を理解し、積極的な政策を行っているのです。タイは外資を誘致し(特に日本から)、成長してきた国であるため、しっかりとしたメリットを提示できれば多くの投資は誘致できると考えています。

M&Aの側面からは?

タイのM&Aは上記の通り、日本でもそうであったように、業界の再編に伴うM&Aが急増すると考えています。また、少子高齢化も相まって後継者不在企業のM&Aも増加します。ここ10年近くは買い手市場になるのではないかと考えております。そのような意味では直接投資が一番多い日本企業にとってはタイでのビジネスを拡大する良いチャンス・タイミングが巡ってきていると思います。

タイM&A 日本M&Aセンターの支援実績、ポイント

以下のそれぞれのリンクから、日本M&Aセンターの支援実績とタイでのM&Aを検討するにあたり留意するポイントをお読みいただけます。
タイM&A支援実積紹介
タイM&Aのポイント

日本M&Aセンターの海外M&A支援

日本M&Aセンターでは、中立な立場で、譲渡企業と譲受企業双方のメリットを考慮にいれたM&Aの仲介を行っております。また、日本企業による海外企業の買収(In-Out)、海外企業による日本企業の買収(Out-In)、海外企業同士の買収(Out-Out)も数多く手掛けてまいりました。
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