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シンガポールでは2022年4月1日より待望の国境制限緩和が行われました。
「ワクチン接種」、「渡航前のウィルス検査が陰性」という2つの条件を満たせば、どこの国からくる渡航者でも到着後隔離無しで活動が出来るようになりました。
今回の緩和でシンガポール経済活動でボトルネックになっていた外国人労働者の渡航許可も大幅に増える見通しです。加えて、その他の行動制限も緩和され、ついに建物の外であればマスクの着用義務もなくなりました。ようやく、コロナ禍の出口が見えてきた印象です。

今回は、渡航制限が緩和される事による現地M&Aマーケットの予想される変化について解説したいと思います。

これまで検討を延期していた買手企業がいよいよ本格検討に着手

渡航制限が1年以上続いていた為、初期検討はしているものの本格的な検討は現地に行けるようになってからというお客様が数多くいらっしゃいました。今回の渡航制限緩和を受けて各社本格検討をようやくスタート出来るようになりました。

加えてこれまでコロナ禍ということで、初期検討も難しかったお客様がこれを機に海外M&Aについて検討を再開されるようになったケースも増えております。

このように買手企業の買収意欲が全般的に増えており、結果として、現地面談・Web面談の数が劇的に増えております。

コロナ禍の出口が見え、業績が上向いてきたローカル企業

一方で、売手側であるシンガポールのローカル企業に目を向けると、業種にはよりますが、コロナ禍の出口が見えて業績が上向いている企業が増えております。進行期の売上予測や受注状況も明るく、自社ビジネスの見通しに自信を持たれているお客様が増えている印象です。

そうなると、譲渡に対する意欲が少し弱まり、業績を反映して従前よりも希望金額が高くなったり、中には譲渡意思そのものを後退・撤回されるお客様も出てくるようになりました。

全般的に、強気になっている売手企業が増えてきておりますので、いますぐに売却する意欲が小さくなり、時間をかけてでもより慎重に良いお相手を望まれるお客様が多くなってきております。

シンガポールM&A市場全体への影響

前回の記事でも触れさせていただきましたが、M&A市場は需要と供給のバランスがあり、一定周期で買手市場・売手市場と環境が変わっていく市場です。コロナ禍だった過去2年ほどは買手市場であり、優良な案件が比較的安価で買収で来ておりましたが、その潮目が徐々に変わっているのを感じております。

まだ、売手市場と言えるほどにはなっておりませんが、今後さらにコロナ禍の出口が明確になり、ウクライナ問題の影響が落ち着いてくるにしたがって売り手市場に向こう事が想定されます。

ただ、買収を検討される企業にとってはコロナ禍で先行き不透明であり、リスクが大きかった時期と違い、将来の見通しが明るい優良企業を実績も見ながらしっかり見定めて買収するチャンスでもありますので、必ずしも悪い事ばかりでもないかと考えております。
M&Aは縁と運とタイミング、双方当事者にとってなるべく満足のいくご縁になるように、我々としては全力でサポートをさせて頂いております。

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