
2022年は、地政学リスクに振り回された1年と言えるでしょう。2023年は世界は、日本は、どのような年になるか、個人的な所感を述べてみたいと思います。
1. 地政学リスクに振り回された世界経済
2022年も最後の投稿となります。表題の通り、2022年は地政学リスクに大きく左右された1年となりました。
年初にはNYダウ平均は36,950ドル超の史上最高値を更新し、GAFAMやテスラなどのテック企業を中心に世界の時価総額は大きく拡大していました。しかし、2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を始めたことを機に、それまでの拡大傾向は180度転換し、我々の生活を大きく変えました。
ロシアやウクライナには天然資源・食品など、重要なコモディティで世界的に大きなシェアを占めているものが沢山あります。もともと2021年頃から、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを引き金とした物価上昇傾向がありました。しかし、このロシアによるウクライナ侵攻で、さらに原油や穀物、魚介類などの価格が上昇し、その結果、2022年の下期から世界的にインフレ傾向が強くなりました。
米国消費者物価指数は2021年頃から上昇してきていましたが、2022年には毎月前年比7~8%の上昇が続き、市民の生活に大きなインパクトを与えるようになりました。このインフレを押さえるため、欧米の中央銀行はそれまでのゼロ金利政策から方針転換をし、歴史的に類を見ない勢いで政策金利を引き上げています。それに対して日本銀行は金融緩和政策を維持する方針を打ち出したため、年初115円/ドルだったものが一時150円/ドル(約30%上昇)となり、企業の事業環境に大きな影響を与えています。
2. 2023年の個人的な予測
2023年がどうなっていくのか、個人的な予測をしてみます(あくまで個人的な予測ですので当たらなくてもご了承ください…)。
やはり注視すべきはロシアと中国の地政学リスクと中央銀行の政策だと思っています。これまでの両国の動きを見る限り、戦争は終結に向かうとしても、暫く対立状況が落ち着くことはないような気がしています。欧米の中央銀行の政策については金利上昇速度が緩やかになるものの、金利を下げるということは2023年中にはないのではないか感じています。
その中で日本国内の状況ですが、大きなイベントとしては日銀総裁の交代だと思っています。4月に新総裁の就任予定となりますが、人事については1月下旬から2月上旬ぐらいには見えてくるでしょう。その新総裁を日本政府がどう選ぶのか…、金融緩和を継続するのか否か。
今月12月にはサプライズで日本銀行から長期金利の変動幅を広げるとのサプライズ発表があったため為替が大きく動き130円/ドルほどまで大きく円高に振れました。これまで黒田総裁は金融緩和継続を強い信念として持ってきましたが、新総裁を中心とした政策委員会メンバーの構成次第では、大きな変動の可能性もあるかと予想しています。
皆さんもご承知の通り、日本は世界でもトップクラスの国債発行国となっています。金利上昇は利払いにも影響があるため、日本銀行がどうかじ取りをするのかに、しっかりと注目していく必要があると思います。
3. リスク分散でグローバル社会を勝ち抜く
個人的な感想・予測ばかりを書いてきましたが、コロナによる移動制限がほぼ撤廃される中、グローバルでのビジネス展開はより加速していくものと考えています。弊社への問い合わせに関しても国内外の企業様から海外M&Aに関するものを多数いただいております。海外ビジネスはリスクが高いと言いますし、それは事実でもあるかと思います。しかし一方で、これからの世の中、日本だけに留まることも大きなリスクではないかと感じています。
海外進出をするとしても、いくつかのやり方があります。オーガニックに新拠点を作る、海外企業を買収してビジネスの基盤を手に入れる、はたまた海外企業やファンドから投資をしてもらい、海外進出のきっかけづくりとサポートをしてもらう等です。繰り返し発信しておりますが、海外M&Aはあくまで経営の選択肢の一つだと思っています。少しでもご関心を頂けましたなら、お気軽に弊社へお問い合わせを頂ければ幸いです。
それでは2022年大変お世話になりました。皆さま、よいお年をお迎えくださいませ。
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