常態化してきた円安水準の行方

前回、未曽有の円安水準に関するブログを書かせていただきました。139円/ドル台と高値を付けた数値は、米国の物価指数が上昇の勢いを失った影響により、一時、130円/ドル台まで円高方向に振れました。しかし、その後、再び円安方向に揺り戻しが来て、足元136円/ドル台の水準となっております。米国のFRBはインフレに対して政策金利を引き上げてきておりましたが、物価上昇の速度が減少したとは言えども、未だインフレ状態という認識を崩しておらず、現在の金利政策を引き続き継続する方針を示しております。

それに対して、日本銀行も金融緩和方針を継続していく姿勢を示しており、日米における金利水準の差は暫く継続しそうな見込みです。中央銀行の政策変更や景気変動により変化が起こる可能性はあるものの、ウクライナ情勢が解決の方向を見いだせず商品価格が高止まりしている足元の状況を勘案すれば、現在の円安水準は暫く続くのではないかと見ています。

お買い得、日本?

このような円安下において、海外から見た日本はありとあらゆるものが安く感じられるようです。もちろん100円/ドル台だった為替水準が130円/ドル台と30%前後変化すれば、単純に考えると海外から見た日本は30%割引のバーゲンセールなわけです。それに加え、海外に比べると日本の物価上昇はやや緩やかとなっているため、それも相まって更に割安に感じられるようですね。

先日、日本M&Aセンター東京本社にシンガポール国籍の社員がバケーションも兼ねて来日しましたが、「とにかく色んなものが安い!」と余暇を楽しんでいました。また、不動産においても、これまで日本の不動産は中国人の方が多く買いに来られるという傾向が多かったと思いますが、先日、知り合いの不動産売買を行っている友人に聞いたところ、傾向が変わってきており欧米の投資家も投資用不動産を探しているようです。日本では不動産価格が上昇しているのに対して、家賃上昇はそれほど見られませんが、ニューヨークではこの1年間で30%超も家賃が上昇しているという状態となっています。日本人は価格を引き上げるということに抵抗感がある集団意識がありますが、様々な価格が引き上げられてくる可能性は大いにあると思っています。

OUT-IN需要を活かすには

現状の為替水準では、日本企業における海外買収は投資コストが上がる状況となってしまっています。しかし、投資回収目線で考えれば、譲渡企業側のPL(損益計算書)が変わっていなければ、投資回収期間は外貨ベースでいけば変わらないとも考えられます(もちろん円調達をして投資をした場合は円高になれば返済期間は変わります)。
では、海外戦略としてどう考えるのか、海外でも競争力のある製品・商品であれば、積極的に輸出を増やしていくべきでしょうし、国内においても海外からの旅行客向けの商品・サービス開発が必要になるかもしれません。外貨を稼ぐことが大きく、グループ全体の収益構造を変えていく可能性はあります。

また、日本M&Aセンターにおいては、最近、海外企業からの日本企業への投資の依頼が多く来ております。それらの外資パワーを活用していくことも、自社の世界戦略を大きく推進していく力となるのではないかと考えております。

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